ラルフ・シューマッハー、ペナルティに不満のマクラーレンに苦言「黄旗は黄旗。ミスを認めるべき」
ラルフ・シューマッハーは、F1カタールGPでマクラーレンのランド・ノリスが受けた10秒のストップ&ゴーペナルティについて、苦言を呈した。 【リザルト】F1第23戦カタールGP:決勝結果 ノリスはF1カタールGP決勝の大半でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に次ぐ2番手を走行していたが、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)のマシンからミラーがホームストレートに落ちたことがきっかけに出された黄旗区間で減速しなかったとして、10秒間のストップ&ゴーペナルティを科された。 ノリスはこれで最後尾まで転落。なんとか10位まで巻き返し、ファステストラップのボーナスも加えて2ポイント稼いだものの、フェラーリとのコンストラクターズタイトル争いで差を縮められる結果となった。 ノリス自身はミスを認め、裁定は正しいと語っているものの、チームはペナルティが厳しすぎるとして、FIAにペナルティをめぐる姿勢の見直しを求めている。 元F1ドライバーであり、Sky Germanyで解説を務めるラルフ・シューマッハーは、マクラーレンのこうした態度を一蹴。ペナルティは妥当だという意見を述べた。 「彼がどんなメガネをかけていたかは知らないけどね。黄色は黄色だよ」 そうラルフ・シューマッハーは語った。 「もしレースオーガナイザーが落ちているパーツを回収すべきではないとして、黄旗を下げた場合、それは常に問題になる」 「あそこに転がっていたミラーは、マーシャルによって取り除かれるかどうか、そう簡単な状況ではなかった。彼らは『OK、誰もイン側は走らないだろうから、黄旗は下げよう』と考えた。だが黄旗が出ているときは、ゆっくり走るモノなんだ」 「フェルスタッペンもそうしていた。つまり最初の1台が減速できるなら、2台目はその3倍はできるはずなんだ。減速は難しくない。だから彼(アンドレア・ステラ/マクラーレン代表)はもっと言葉を少なくして『くそっ、バカなミスだった。我々はもっとよく見るべきだったし、もっとうまくやるべきだった。ドライバーももっと敏感になる必要がある』と言うべきだったんだ」 またラルフ・シューマッハーは、レース後に首の痛みを訴え、黄旗を「見ていなかったか見逃したか、今回はなぜかそれ(減速)ができなかった」とコメントをしたノリスに対しても、厳しい言葉を投げかけた。 「黄旗がどれだけ長く出ていたか、はっきり分かるだろう。マックス・フェルスタッペンはアクセルから足を離し、0.5秒を失った。そしてドライバーとしては、バックミラーを見てこう思うだろう。『うわ、(後ろのマシンが)急に近づいてきた』とね。そして当然、『なぜ自分は減速しているのに、彼は減速しないのか?』と疑問を持つことになる」 「だから、理論的には危険行為に加え、アドバンテージを得たとして重い罰則が科されるんだ」 「それから『首が……』という言い訳が出てくるんだ。これも私には理解できない。彼にはジムに行く時間が十分あったはずだ。これまで、それが我々の仕事だったし、5Gに耐えられる首がないなら、鍛えるのが仕事だ。だから若者たちはもう少し頑張らなくてはいけない」 カタールGPの結果、コンストラクターズランキングでは首位マクラーレンにフェラーリが21ポイント差に迫った。仮にフェラーリが最終戦アブダビGPでワンツーフィニッシュとファステストラップのボーナスポイントを獲得し44ポイントを稼いだ場合、マクラーレンの2台は23ポイント以上を獲得する必要がある。これは例えば3位と6位など、それほど簡単なことではない。 もし今回ノリスがペナルティを避けられ、2位でフィニッシュしていたとしたら、マクラーレンはフェラーリとのリードを縮められるどころか33ポイントまで広げ、最終戦でのプレッシャーを大きく減らすことができていたはずだ。 このノリスのミスが、マクラーレンに亀裂を生むことになると思うかと聞かれると、ラルフ・シューマッハーはマクラーレンが最終戦アブダビGPでタイトルを取り逃がすことになれば、そうなるだろうと答え、ノリスの不安定さについても言及した。 「アブダビでうまくいかなかった場合は特にね。つまり、彼らはまだ比較的余裕のあるリードを保っているけれど、今回で多かれ少なかれもっとタイトルに近づくことができたはずだ」 「マクラーレンはもちろん素晴らしいシーズンを送っているし、それは間違いなく歴史的なことだ。だが彼らは今、多くの問題を抱えていて、それに敏感である必要があると思う。なぜなら、ランド・ノリスは内側から壊れる可能性のある人間だという印象を私に与えるからだ。彼らは注意深くなければならない」
松本 和己