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中国Huawei、競争激しいインドのスマホ市場で「Googleに代わる存在になりたい」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 人口13億人以上をかかえるインドではスマホ市場も急成長している。かつては韓国サムスンのスマホが圧倒的に人気で、インドの地場メーカーもスマホを製造していたが、最近ではもっぱらHuawei、OPPO、Vivo、小米など中国メーカーのスマホが台頭し、市場を席捲している。Appleは富裕層のみに人気があるため、一般の市民には手の届かない高根の花である。インド人は実用主義なので、メーカーが中国であれ韓国であれ、コストパフォーマンスに優れて機能が良い製品を好む。

 中国メーカーのHuaweiのインドCEOのCharles Peng氏はインドのメディア「The Economic Times」でHuaweiはインドでGoogleに代わるサービスを提供していくと語っている。Huaweiはアメリカ政府からの規制があり、GoogleのAndroid OSの新規ライセンスを停止するとしたため自社独自でのサービス展開を迫られている。現在ではHuaweiと同社のサブブランドHonorのスマホが人気があるが、新しい製品が登場すると、あっという間に売れ筋も人気も変わる。

 Huaweiインドでは2020年には150の様々なアプリを提供していき、現在Googleが提供しているサービスに代わる存在になっていくことを明言している。Charles Peng氏は「Huaweiはスマホの端末製造からアプリ提供までのエコシステムがインドでは構築されている。今後は特にナビゲーション、ペイメント、ゲーム、メッセージのキーとなるアプリで市場で存在感を出していく。消費者にとっては、Googleのサービスと大きな違いを感じないはずだ。またアプリ開発者には最高で17000ドル(約200万円)のインセンティブも払っていく」と語っている。

 インドのスマホ市場はほとんどがAndroid OSであるためGoogleのあらゆるサービスが浸透しており利用されている。Huaweiのスマホはインドで人気はあり売れているが、そのスマホでインド人が利用しているのはほとんどがGoogleのサービスである。Gメール、YouTubeは特に大人気だ。現在のGoogleが提供するサービスのユーザビリティにも慣れ親しんでいる。さらにGoogleはインド全土の鉄道駅で無料Wi-Fiを提供しており、インド中からあらゆるデータや情報を収集し、個々人にあった広告を提供している。GoogleとHuaweiでは業態も異なる。Googleのビジネスモデルは広告収入であり、サービスは無料で提供しても広告で稼げれば良い。一方でHuaweiのビジネスモデルはスマホ販売でスマホの売上が収益であり、ライバル企業も多く競争も非常に激しい。Googleの既存のサービスに慣れ親しんでいるインド人がHuawei製のスマホでHuawei独自のサービスに変えていくことは容易なことではないだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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