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MLB初の南ア出身投手が誕生へ! マリナーズの27歳マイナー右腕がMLB初昇格

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLB初の南ア出身投手になったテイラー・スコット投手(提供:MLB)

【マリナーズがテイラー・スコットのMLB初昇格を発表】

 マリナーズは7日のエンゼルス戦前に、3Aからリリーフ投手のテイラー・スコット投手をMLBに昇格させたことを発表した。27歳のスコット投手にとって、記念すべきMLB初昇格だった。

 またスコット投手は南アフリカのヨハネスブルグ出身で、辣腕記者で知られるケン・ローゼンタール記者によれば、彼はMLB史上初の南ア出身のMLB投手になったそうだ。

 ちなみに2017年にギフト・ムポンゴペイ選手がフィリーズで公式戦出場を果たしており、南ア出身初のMLB野手になっている。

【一時は独立リーグへ!マイナー生活苦節8年の苦労人】

 残念ながらマリナーズから発表されたスコット投手の略歴では詳細が掴めないが、彼は南アから米国に移り、アリゾナ州の高校に進学し、野球をしていたようだ。そのため2011年にドラフト対象選手となり、カブスから5巡目指名を受けている。

 だがスコット投手の野球人生は、決して順風満帆ではなかった。2014年までカブス傘下のマイナーリーグで先発投手として投げていたが、2015年から中継ぎ投手に転向。そのシーズンの途中で2Aまで到達したが、翌年のシーズン開幕直前に解雇されてしまった。

 所属先を失い一時は独立リーグに籍を置くことになったが、2016年7月にブルワーズとマイナー契約で合意。さらに翌シーズンの途中でレンジャーズにトレードされ、一度もMLB昇格できないまま昨シーズン終了後にFA選手になった後、マイナー契約でマリナーズに移籍していた。

【シーズン途中から投球に安定感を増すことに成功】

 今シーズンのスコット投手は3Aに在籍し、19試合に登板。3勝2敗1セーブ、防御率5.86と、決してずば抜けた成績を残していない。

 だが5月3日以降で見ると、2勝1敗1セーブ、防御率1.83を記録し、急激に安定感を増しているのが分かる。また19試合中15試合で複数三振を記録しており、高い確率で三振を奪えている。さらに3Aでは登板によって0.2~3イニングを任されており、様々な起用法にも対応できそうだ。

【両親の目前でMLBデビューなるか?】

 ローゼンタール記者によれば、今回のMLB初昇格に合わせ南アから両親が駆けつけ、エンゼルス戦を観戦する予定だという。

 果たしてスコット投手は両親の見守る中で、MLBデビューを飾ることができるだろうか。さらにこのままMLBに留まり続けることができるのか。

 前述のムボンゴペイ選手も27歳でMLB初昇格を果たし、昨年もMLB出場を果たしているが、まだMLBに定着できていない。

 すべては彼の投球次第だ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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