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MLB史上2番目の満員ホーム試合の連続記録が途絶えたいう眉唾加減

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
いつも満員が当たり前だった?ジャイアンツの本拠地AT&Tパーク(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

ジャイアンツの公式アカウントが17日、以下のようなツイートを行った。

その内容は、ジャイアンツの満員ホーム試合の連続記録が530で途絶えたことの報告と、ファンへの感謝を綴ったものだった。

この連続記録はレッドソックスが記録していたMLB最長記録の794に次ぐもの。MLB公式サイトのデータによれば、今シーズンはずっと下位に低迷しながらもジャイアンツの平均観客動員数は4万1574人と両リーグ3位にランクする健闘を続けていたが、17日のインディアンス戦で3万9538人に終わり、遂に記録が途絶えることになった。

ただジャイアンツの公式ツイートに対するファンの反応はすべてが好意的なものではなく、かなり冷ややかな見方もあった。中には「フェイク・ニュースだ」や「チケット売り上げ枚数と観客動員数は意味が違う」と手厳しいものも含まれていた。

こうした反応が起こるのも、無理はないところだろう。MLBがデータとしてまとめている「attendance(参加者数、出席者数の意)」というものが、どうやら純粋な入場者数ではなさそうだからだ。

実は今回の関連ツイートで以下のようなものを発見できた。

簡単にツイート内容を説明すると、「連続記録は随分前に途絶えていた。2015年以降多くの試合に空席が目立っていた。彼らもようやくそれを理解したようだ」というもの。

これは筆者自身もAT&Tパークに取材にいって実際に体験していることだが、試合中2階席にかなりの空席が散見されているにも関わらず、ジャイアンツの公式発表はいつでも4万人を超えていた。時には知り合いの記者たちと目を合わせながら苦笑いを浮かべたこともあったほどだ。

どうしてこんなことが起こるのかといえば、MLBの場合年間シーズンチケットで相当数を売り上げている一方で、チケットは売れていても、実際に観戦に来ないファンがいるからだ。特に今シーズンのような厳しいチーム状況では、チケットを持っていたとしても試合観戦に興味がなくなるファンがどうしても多くなってしまうだろう。

つまりジャイアンツはこれまでも「入場者数」ではなく「チケット売り上げ枚数」を公式記録として発表していたということになる。各チームに確認しているわけではないが、ほとんどのチームの発表がジャイアンツだと同様だと思う。ただ自分の経験上、NFLなどでは「入場者数」と「チケット売り上げ枚数」を別々に発表している場合もあった。もちろんチームからすれば空席があったとしても、チケット売り上げ収入に変わりはないのだが…。

ちなみに今回の記録について英語表記は「sellout」を使う。実際に辞書で調べてみると「売り切れ」とか「満員御礼」とされているため、日本語に訳する時も「満員」を使うことが多くなってしまう。

今回の記録を前者で捉えるならばある程度納得できるものだが、後者となればやはり話は変わってきてしまう。ただ「attendance」は根本的に実際にイベントに参加した人数であるべきだと思う。まさに地元ファンの反応は、そうした背景が如実に現れた結果なのだろう。

今までも記録を大切してきたスポーツ文化を有するアメリカだけに、そうした曖昧さが解消されることを期待したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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