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情報取得のための携帯電話やインターネットの使われ度合いをさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 携帯電話で情報交換。ごく当たり前の行動となっている人も多いはず。(写真:アフロ)

携帯電話やインターネットは情報の概念そのものを変え、価値をけた違いに大きな存在にしてしまった。今では必要不可欠な存在、失われれば一日たりとも生きてはいけないと考える人もいるだろう。それでは実際のところ、携帯電話やインターネットに対する情報取得のための利用度合いはどれほどのものなのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の結果から、その実情を確認する。

次以降に示すのは該当メディアを用いて国内外の情報を取得しているか否かの割合。「用いる」であり、保有・購入の有無は問われていない。そして利用頻度に関して「毎日」「週一」「月一」「月一未満」「全然用いない」「分からない」のいずれか一つを選んでもらうことになる(結果として「無回答」もありうる)。その上で、一定程度以上の利用頻度に該当する(定期利用)ものとして「毎日」と「週一」を足し、ほとんど使わないに値するものとして「月一未満」と「全然用いない」を加算し、それぞれの該当率とする。

なお今回取り上げる設問については現在集計中らしく値が非開示となっている、あるいは元から設問が用意されていない可能性がある国が複数確認できる。

まずは携帯電話。

↑ 国内外の情報を取得する際に携帯電話を週一以上で使っている(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際に携帯電話を週一以上で使っている(2017~2020年)

↑ 国内外の情報を取得する際に携帯電話を使うことは月一未満である(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際に携帯電話を使うことは月一未満である(2017~2020年)

設問原文で指定されている対象は「モバイルフォン」、つまり携帯電話。従来型携帯電話以外にスマートフォンも該当するが、いずれも端末を使ったインターネットアクセスは想定しておらず、電話を用いた口頭でのやり取り、そしてSMS(ショートメッセージサービス)までが該当する。

「週一以上で使っている」について、もっとも高い値を示したのは韓国の85.2%。次いでトルコの79.9%、中国の77.0%、コロンビアの75.6%、イランの72.2%、香港の71.6%で、ここまでが7割超え。日本は意外に低く39.6%と4割足らず。携帯電話の普及率は高いものの、携帯する電話としての機能はあまり使っていない実情が透けて見える。

利用していない率が一番高いのはエジプト。日本は6割近くの人が、携帯電話で口頭でのやり取りやSMSをほとんど使っていないと回答している。あるいは携帯電話そのものを持っていない人も相当いるのかもしれない。

続いてインターネット。設問原文には単に「インターネット」としか指定がない。一方で今回は取り上げないが別項目で「電子メール」があるため、電子メール以外のインターネット(利用端末は問わず)利用、例えばブラウザ閲覧やアプリケーションの利用による情報取得が該当する。

↑ 国内外の情報を取得する際にインターネットを週一以上で使っている(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にインターネットを週一以上で使っている(2017~2020年)

↑ 国内外の情報を取得する際にインターネットを使うことは月一未満である(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にインターネットを使うことは月一未満である(2017~2020年)

「週一以上で使っている」の値が案外低いように見えるかもしれないが、これはあくまでも「国内外の情報取得のため」の利用に過ぎない。ゲームで遊んだり、アニメ動画を視聴したりなどは含まれない。要は単なるインターネットの利用性向ではない。見方を変えれば今件値は、インターネットによる情報取得の積極性・消極性でもある。

週一以上利用率がもっとも高いのはアメリカ合衆国。次いでオーストラリア、トルコ、ニュージーランド、韓国が続き、日本が入ってくる。日本に香港が続き、ここまでが7割台。スウェーデンは前回調査(2010~2015年)で大変高い値を示していたのだが(トップで82.8%)、現時点では集計が終わっていないようだ。

非利用率のトップはエジプトで73.0%、次いでフィリピンの63.9%、中国の54.9%、メキシコの50.2%。エジプトが極端な値を示すことは他のメディア同様だが、他国の動きを見るに、単純にインターネットの普及率が低いのではなく、情報の取得源としてインターネットを使うことがあまりない(例えば信憑性の問題)からなのかもしれない。

グラフ化は略するが日本の場合、65歳以上に限ると週一以上の利用者は41.4%、月一未満でしかない人は52.1%となる。他国も似たような状況だが、高齢層のインターネットの利用状況の改善(推進)が、国全体の値を押し上げる肝となるようだ。

■関連記事:

【EU諸国の世帯単位でのインターネット・ブロードバンド普及率をグラフ化してみる】

【アジア主要国のインターネット普及率などをグラフ化してみる(最新)】

※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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