日本の中国への好印象派は17%
今世紀初頭から大きな変容を見せる大陸国家、中華人民共和国(中国)。その国を隣国として持つ日本は、中国にどのような感情を抱いているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に確認する。
最初に示すのは、中国という国全体に対し、どのような印象を持つのかを答えてもらったもの。「強い好印象」「弱い好印象」「弱い悪印象」「強い悪印象」の4選択肢から回答者の心境に一番近いものを選んでもらい、前者2つを「好印象」、後者2つを「悪印象」として計上した結果が次のグラフ。なお4選択肢以外にその他・非回答があるため、両者の合計は100%にはならない。
直近の2018年では好印象が17%、悪印象が78%。圧倒的に悪印象の方が多い。この構造は2002年の調査開始以降では2006年以降継続している形となる。2011年には好印象が34%、悪印象が61%となり、両者の差は大きく縮まったが(震災による援助報道などが影響しているのだろうか)それ以降は大きく下落。2013年には好印象が5%と過去最低値を記録したあと、じわじと値を増やしているものの、悪印象の方が多い状況には違いない。
報告書では直近年分の属性別傾向について、年齢階層別、世帯年収別、学歴別、男女別を問わず同じような傾向が出ているとしている。ただし与党支持者は野党支持者より、好印象の回答率が高いと言及している。
中国に対する印象の具体的内容を知ることができるのが次のグラフ。対中認識をいくつかの設問で答えてもらったもの。
中国が人権を尊重していないと考えている人は88%、世界のけん引役としては中国よりアメリカ合衆国の方がふさわしいと考えている人は81%、中国の現在のトップである習近平首席の施策は世界の安定と正しい方向への歩みに貢献していないと考えている人は76%。先の悪印象78%と併せると、悪の帝国的な評価のされ方である。
しかしながら一方で、中国の影響力が増大していることについても79%が同意を示しており、現状を正しく認識していることも結果としては出ている。この設問に関して属性別傾向としては「高世帯収入の人、高学歴の人、立憲民主党支持者の人は、中国の影響力増大に同意する人が多い」と説明している。
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※Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future
直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。
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