アメリカの人に聞く「日本と中国、経済的にどちらが重要?」
アメリカにとって日中どちらが経済的に大切か
太平洋戦争終結から70周年を迎えた今年、様々な意識調査が日米双方で行われている。その調査結果の一つ、アメリカの民間調査機関Pew Research Centerが発表した「Americans, Japanese: Mutual Respect 70 Years After the End of WWII」から、日米双方の経済的な結びつきの国民レベルでの認識を確認していく。
次に示すのは経済面から見て、日本と中国のどちらとの関係を強化するべきかを尋ねた結果。合わせて日本人に対し、中国とアメリカ、どちらの国との関係を強化した方が経済的にプラスとなるかも尋ねている。
日本では8割近くがアメリカを選び、中国は1割。一方でアメリカでは中国を選ぶ人が43%、日本は36%となり、中国優勢の結果が出ている。
これを属性別に見たのが次のグラフだが、属性別にはっきりとした差異が出ているのが分かる。
人種別では白人の場合は日本優勢、それ以外では圧倒的に中国優勢。世代別では歳を経るほど日本が優勢になり、若年層では中国びいきな状況。興味深いのは支持政党別の動きで、現在のアメリカ合衆国大統領であるオバマ氏が属する民主党を支持する人は多分に中国びいきだが、対抗政党の共和党では逆に日本びいきの人が多くなっている。次回の大統領選挙で大統領の所属政党が変われば、日米関係にも小さからぬ変化が生じる可能性はある。
貿易面で日本は信頼できるか
それでは日本は具体的にどの程度信頼されているのだろうか。調査間隔が随分と開いているが、貿易面での信頼度合いを尋ねた結果が次のグラフ。
前世紀における信頼性の無さもたいがいなものだが、直近の2015年における信頼の上昇ぶりも大いに気になる。もっとも前世紀末期、特に1980年代から1990年代中頃までは、いわゆる日米経済摩擦(貿易戦争)が過酷な状況にあったため、このような結果が出たのも仕方がない話。
他方、日本の競合的な相手となる中国に関しては、全体的には37%のみが信頼できるとし、出来ないとする意見は48%にも及んでいると報告書では説明している。ただし世代間格差や人種間格差は大きく、若年層・非白人層ほど中国への信頼度は高いとのこと。上記の「日中どちらが経済的に重要か」の回答と似たような動きと言える。
属性による違いはあれど、全般的には日本と比べて経済的なウェイトは高いものの、信頼度の点では注視が必要となる中国の台頭。これによりアメリカは日米関係について、これまでと比べてどのような価値観の変化を見出しているのだろうか。
軍事的要因が入っているのも一因だが、重要性を増したとの意見が6割を超え、減ったとの人は6%でしかない。変わらないとの意見29%も合わせ、少なくともアメリカの国民レベルにおいては、日米関係の悪化・軽視化を望む人はごく少数であるとの認識で問題あるまい。
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