解説現在公表されている政府行動計画改定案は、「偽・誤情報の拡散状況等のモニタリング」を、官邸直轄の内閣感染症危機管理統括庁(昨年9月設置)を中心に、複数の行政機関によって平時から常時、実施することを想定しています。 また、「初動期」以後は「国はSNS等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請や協力等を行う」と記載され、削除要請が想定されます。 つまり官製ファクトチェックは単なる政府の情報発信ではなく、言論統制につながりうる危険性を秘めているものです。 最高裁は、憲法が絶対的に禁止している「検閲」を行政機関が発表前に行う事前検閲に限定解釈してきたため、事後的な表現抑制措置がただちに違憲とは言い切れないものの、憲法学者からも懸念の声が上がっています。下記の拙稿もご参考ください。 【憲法記念日】政府による偽情報対策は表現の自由を掘り崩すか 憲法学者に聞く (Yahoo!ニュース)
コメンテータープロフィール
慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。
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