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山田吉彦

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海洋問題研究者/東海大学海洋学部海洋理工学科教授

報告

見解生産者、販売者の呼吸があった「ご祝儀相場」である。2025年は、大型太平洋マグロの漁獲枠が50%増となり、洋上で瞬間冷凍した質の良い冷凍マグロが市場に出回ることになる。近海ものの生のマグロの鮮度、希少性を強調し、市場を維持するためには、今回のご祝儀相場は、落札した業者のみならず、既存の漁業界にとって貴重な宣伝機会となった。その機会は、生産者と販売者が、呼吸を合わせ作り上げたともいえる。特に、大間のマグロのブランドに陰りがささやかれていたことからも、今回の高値での落札は、ブランドを維持するためにも、付加価値のある取引といえよう。 今後の近海マグロ関係者の課題は、冷凍マグロとの差別化である。年初、近海マグロの高級感を作り出すこととマグロ市場に目を向けることに成功した。これからは、流通経路の確立、鮮度の維持、一般に普及する市場の形成などをさらに工夫し、良質のマグロを市場に供給し続けて欲しい。

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コメンテータープロフィール

山田吉彦

海洋問題研究者/東海大学海洋学部海洋理工学科教授

東海大学海洋学部教授。1962年千葉県出身。学習院大学経済学部卒後、金融機関を経て日本船舶振興会(現日本財団)に勤務。勤務の傍ら埼玉大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。2009年東海大学教授。海難審判庁業務改善委員会委員、国土交通省海洋政策懇談会委員、東京都専門委員などを歴任。八重山自然大使。海洋コメンテータとして各種メディアで海洋問題を解説。著書、日本の国境(新潮新書)ほか多数。

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