補足教職調整額は、導入時の国会答弁からしても、また、実際の給与体系上の扱いも、本給(従って退職金の額にも反映する)なので時間外労働等の対価とされるいわゆる「固定残業代」ではありません。内田良教授が指摘するように、本来は管理職が残業を命じない制度なのですが、実際にはヤミ残業(私立学校の場合「黙示の業務指示あり」とみます)が横行しているのが公立学校の実態です。教員の働き方改革で最も重要なのは、ヤミ残業を「教員の自主的自発的活動」などとして実態から目をそらすのを止めて、違法な長時間残業が横行している実態をどう是正するのか、真剣に議論することだと思います。
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コメンテータープロフィール
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なので何でもこなせるゼネラリストを目指しています。著作に『新版 残業代請求の理論と実務』(2021年 旬報社)。