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渡辺輝人

渡辺輝人

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弁護士(京都弁護士会所属)

報告

提言今回の最高裁判決は、この訴訟の係属中に「メリット制」で保険料率を上げられる処分を受けた使用者がそのことを別途争って行政不服審査をすることができ、それでも駄目な場合は取消訴訟を提起できる、と運用が改善されたことで「それなら労災の支給処分に使用者が関与する利益はない」と判断されたものです。この使用者側の申立で結果が覆っても労働者への労災給付は変わらないことになってますが、保険料率を増額する処分に対して使用者が「そもそも労災ではない」と争える手続ができたことで、その後の損害賠償請求訴訟にも影響し、結局、二周目の労災手続(からの取消訴訟)が発生し得る点は改善されていません。 現場の実感としては「メリット制」が労災隠しの温床になっているようにも感じるので、端的に「メリット制」を廃止するのが良いと思います。労災が頻発する事業所への対処は行政指導や処罰で別途行うのが妥当でしょう。

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コメンテータープロフィール

渡辺輝人

弁護士(京都弁護士会所属)

1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なので何でもこなせるゼネラリストを目指しています。著作に『新版 残業代請求の理論と実務』(2021年 旬報社)。

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