刑事訴訟と民事訴訟では(1)求められる立証のレベルが異なり刑事の方がハードルが高い、(2)刑事訴訟では検察官が被告人の故意(被害者の抗拒不能の状態を認識してそれに乗じて性交しようとした主観)の立証が必要であるところ、民事訴訟の場合は過失でそのような状態に至った場合でも責任が認められる違いがあります。被害者本人が早期から証拠保全をし、かつ、性交の事実自体に争いがなかった本件では、民事の賠償が認められる可能性は、十分あったといえるでしょう。問題なのは、加害者の主観(故意か、重過失か、通常の過失か)を裁判所がどこまで認定したかだと思いますが、330万円という慰謝料額は、日本の裁判の相場からいうと決して低い金額ではありません。続報に注目しましょう。
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コメンテータープロフィール
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なので何でもこなせるゼネラリストを目指しています。著作に『新版 残業代請求の理論と実務』(2021年 旬報社)。
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