解説記事の内容自体に特に新しい点は無いが、追加で強調すべきは、ロシアが核兵器を使用した場合の米国の対応を考えるにあたっては、米国の対応へのロシアのさらなる対応をいかに想定するかが重要になる点である。 米国が抑制的な対応を行なった場合には、ロシアが核兵器使用を繰り返すリスクや、「核兵器による攻撃に対応できない米国」という評価がなされる懸念がある。他方で、米国が強い対応を行えば、それに対してロシアが、NATO加盟国への攻撃を含むエスカレーションに打って出るリスクが高くなる。いずれにしても困難な選択になるため、ロシアによ核兵器使用の抑止が何より重要になる。
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コメンテータープロフィール
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。
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