解説すでに核が使用されてしまった状況において、米国大統領は「(プーチンに)これ以上状況をエスカレートさせても有利にならない、と思わせるには何をすればよいのか」を考えることになります。またその反撃オプションは、ロシアが行った核攻撃に対して過剰であってはならず、「比例性・同等性の原則」が求められます。 しかし、これを具体的オプションに落とし込む場合、一つの答えはありません。すなわち「比例的」とは、反撃に使用する兵器の数、種類を意味するのか。攻撃する目標の数、種類、戦略的価値なのか。攻撃によって生じうる犠牲者の数、兵器の威力なのかなど、さまざまな評価基準があるわけです。またその反撃は、「戦争を終結させる最後の一撃」として実行されるのか、同盟国を安心させるものなのか、ロシアに対する懲罰を意図したものなのか、はたまた中国を牽制するためのものなのか、といった考慮要因があります。
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コメンテータープロフィール
岡崎研究所や官公庁で戦略情報分析・政策立案業務に従事したのち、2019年より現職。マクマスター元国家安全保障担当大統領補佐官らと共に、日米防衛協力に関する政策研究プロジェクトを担当。専門は、日米の安全保障政策、核・ミサイル防衛政策、抑止論など。 【近著】 -ブラッド・ロバーツ(監訳・解説)「正しい核戦略とは何か」(勁草書房、2022年) -峯村健司他(共著)「ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界」(幻冬舎新書、2022年) -森本敏、高橋杉雄他(共著)「新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛」(並木書房、 2020年9月)
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