解説このところ欧州(ドイツ、北欧、バルトなど)の政治家から、「もしウクライナが負けてしまえば」というシナリオに関する悲観的な発言が相次いでいる。今回も同列のものだといえる。 米国でトランプ政権が誕生することへの懸念とともに、欧州内においてもいわゆる「支援疲れ」が指摘され、以前のような切迫感が無くなったことへの警告という意味合いが大きい。ウクライナ支援の重要性とロシアの脅威について改めて認識せよ、というメッセージだ。こうした議論は、狙い通りの効果を生む期待もあるが、「オオカミ少年」と捉えられてしまうリスクもある。
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コメンテータープロフィール
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。
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