解説ノーベル平和賞授賞の際のノーベル委員会の発表文と今回の田中氏の演説を比較すると、重要なすれ違いが浮かび上がる。 ノーベル委員会は、核兵器が2度と使われてはならないという「核のタブー化」という国際規範形成における被団協の役割を評価した。それに対して田中氏は、「「核タブー」の形成に大きな役割を果たしたことは間違いない」と述べつつ、「しかし、」と続け、タブーだけでは不十分で、核兵器と人類は共存できないこと、それゆえに核廃絶が必要だと訴えたのである。「核のタブー」ばかりを重視したノーベル委員会に反論した格好になった。 この構図をしっかり理解する必要がある。ノーベル委員会は、長期的で実現可能性の低い核廃絶よりも、核兵器が実際に使われてしまうかもしれないことへの危機感を強く打ち出した。核兵器が「使われなければよいのか」、そのために抑止に頼ることが肯定されるのかなど、考えなければならない問題は多い。
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コメンテータープロフィール
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。
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