補足介護従事者による高齢者虐待は、残念ながら、経年的にみると増加傾向にあります。 厚生労働省発表の元データを確認すると、その原因のトップは「知識・意識の不足(77.2%)」、次いで「ストレスや感情コントロールの問題(67.9%)」となっています。つまり、介護従事者の資質や人格による問題と言うよりも、過酷な介護現場の状況を表す要因が多くを占めています。このことは、介護従事者の働く「環境」を見直す必要性を示しており、現場での心理的な余裕の確保や教育•スキルの向上が求められるものと言えるでしょう。 一方、養護者(家族など)による虐待の元データを確認すると、件数はやはり増加傾向にある一方、「認知症による症状」が原因のトップとなっています。このことは、認知症高齢者の家族介護の過酷さを表していると言え、在宅での家族介護者支援の必要性を表していると言って良いでしょう。
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コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。