見解作品性以前に、そもそもどのNHK五輪テーマ曲と比べるかという問題かと思いました。ある一定年齢以上における多くの人の記憶に残っているテーマ曲といえば、例えば、96年アトランタ五輪の大黒摩季「熱くなれ」でしょう。96年にはスマホなど影も形もありませんでした。ネットすらほぼなかった。みんながテレビをまなじり決して凝視していた時代の「熱くなれ」と比べると、必然的に「耳にしない」、だから「薄すぎる」となってしまうような気がします。ちなみにNHKのアトランタ五輪中継（同年8月4日19:20～）の視聴率は43.0%を叩き出しています。
コメンテータープロフィール
音楽評論家。ラジオDJ、小説家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12『ザ・カセットテープ・ミュージック』、bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『幸福な退職』『桑田佳祐論』（新潮新書）、『EPICソニーとその時代』（集英社新書）、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』（ともに彩流社）、『恋するラジオ』（ブックマン社）、『サザンオールスターズ1978-1985』（新潮新書）、『1984年の歌謡曲』（イースト新書）など多数。東洋経済オンライン、東京スポーツなどで連載中。2023年12月12日に新刊『中森明菜の音楽1982-1991』（辰巳出版）発売。
