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助川成也

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国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

報告

解説ASEANの中国を巡る温度差は、経済的依存度の違いによるもの。これは対ASEAN戦略で中国が一枚も二枚も上手だったということである。これによってASEANは対中問題で一体的な行動に制約が出た。  ラオスやカンボジアなど中国からの経済的援助や投資に依存する国々は、中国との関係強化を優先しがち。一方、フィリピンやベトナムのように領有権問題を抱える国々は、中国に対する警戒を強め、米国や日本との経済的・軍事的協力を進めている。  この温度差は、ASEANの経済的な結束を弱める要因である。ASEANが一体的に動くことが難しいことから、ASEAN中心性が弱まりつつある。特にインドネシア、タイ、マレーシアは、OECDやBRICSの加盟申請を行うなど、自国の利益に応じて多元的なパートナーシップを模索する動きを示している。ASEANの一体性を維持しつつ、各国の多様化戦略とどうバランスを取るかが課題である。

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コメンテータープロフィール

助川成也

国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

専門はタイを中心とした東南アジア経済、FTA等の通商戦略。東アジア共同体評議会有識者議員。1992年よりジェトロ(日本貿易振興機構)勤務。タイ・バンコク事務所主任調査研究員、海外地域戦略主幹(ASEAN)など20年にわたり東南アジア関連業務に従事。2017年に国士舘大学へ。20年に現職。2022年よりタイ・バンコクの泰日工業大学(TNI)の客員教授を兼ねる。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)

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