見解いまさら?という印象です。そもそも、歴史も政治体制も宗教も民族も大きく異なるASEAN諸国の間では、温度差があるのが当然でしょう。中国との距離、南シナ海問題、ミャンマー問題、ロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエルとパレスチナの情勢を巡る各国の立場は、実にさまざまです。それこそが健全な状態です。これほどまでに価値観を共有しない国々が、ASEANという地域機構を「てこ」として使い、米国にも中国にも過度に依存しないように努めていることを理解すべきです。 恣意的にASEANの分断を強調したい人たちもいるでしょうが、分断、亀裂、ほころびといった評価は、外部からの指摘にすぎません。私はいま、次の議長国であるマレーシアに出張中ですが、こちらではすでに、ミャンマー問題の打開に向けたさまざまな試みが始まっています。多様な国々が独自色を出しながら解決策を探るこのダイナミズムこそがASEANです。
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コメンテータープロフィール
神戸大学大学院国際協力研究科修了(政治学博士)。フィリピン大学研究員、在フィリピン日本国大使館専門調査員、在タイ日本国大使館専門調査員、衆議院議員秘書などを経て現職。専門は東南アジア政治、国際協力論。防衛大学校グローバルセキュリティセンター共同研究員。技能公募予備自衛官(英語)。近著に、Pathways for Irregular Forces in Southeast Asia: Mitigating Violence with Non-State Armed Groups (Routledge, 2022年)、『アジアの安全保障2021-2022』(朝雲新聞社2021年、共著)など。
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