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助川成也

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国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

報告

見解ODA事業に絡み、JICA職員が業務の見積額などを応札する日本企業に漏えいした今回の事件は、日本のODA全体に影響する可能性がある。この事件は、1970年代にアジア諸国から指摘された「日本のODAは現地支援よりも日本企業の利益を優先している」とする批判を再燃させかねない。  当時、日本は「ひも付き援助」により、ODAは自国企業の輸出促進が目的と見なされ、批判されていた。今回の事件は、このような過去の批判を再燃させ、受援国からの信頼を損なうリスクを伴う。また、日本企業がODA事業において不正な優位性を得ているとの疑念が広がれば、国際的な競争力や信頼が低下し、今後の事業受注に影響を及ぼす可能性が高い。日本政府やJICAは、迅速かつ透明な対応、再発防止策を通じて信頼回復に努めることが急務である。  しかし一方で、手続きやその時間が更に要するようになれば、日本のODAへの期待感が萎みかねない。

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コメンテータープロフィール

助川成也

国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

専門はタイを中心とした東南アジア経済、FTA等の通商戦略。東アジア共同体評議会有識者議員。1992年よりジェトロ(日本貿易振興機構)勤務。タイ・バンコク事務所主任調査研究員、海外地域戦略主幹(ASEAN)など20年にわたり東南アジア関連業務に従事。2017年に国士舘大学へ。20年に現職。2022年よりタイ・バンコクの泰日工業大学(TNI)の客員教授を兼ねる。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)

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