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園田寿

園田寿

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

見解大麻が禁止されるのは依存症の原因だから、という。しかし、大麻には身体依存(手の震えや発汗、幻覚などの離脱症状が出ること)はほとんど見られないらしいし、精神依存(大麻を吸いたいと思うこと)は、常用者の1割程度だといわれている。しかも致死量は15分で600kgほどの摂取だといわれているので、実際上は致死量がなきに等しい。 むしろ大麻使用に不随する社会的危険が問題だが、それは退学や退職、家庭崩壊や社会関係の破壊などである。これらは、大麻が原因になるかもしれない心身の害よりも、大麻が違法(犯罪)であることから生じている。 また、医療関係者の中には〈治療につなげるために、大麻が犯罪であることが必要〉という意見もあるが、酒好きに依存症治療の必要性がほとんどないように、実際には圧倒的多数の大麻常用者に治療の必要性があるのか疑わしい。要するに、大麻に犯罪の実体があるなら、そこを説明してほしいのである。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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