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園田寿

園田寿

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

解説アメリカのある調査によると、1973年は大麻合法化に賛成した成人はわずか16%だったが、今や90%が医療用または非医療用として大麻を合法化すべきであると考え、完全な合法化を支持する者は60%に達している。これは、薬物政策において科学がイデオロギーに勝ってきた証拠である。 アメリカ(日本もそうだが)は、とくに20世紀の半ば以降、刑法による抑圧的で懲罰的なシステムの確立を目指して、強力に「薬物のない世界」を目指してきたが、今では国連をはじめ、世界は徐々にこの言葉を捨てようとしている。 今回のアメリカの措置は、従来の懲罰的な薬物政策が、薬物消費を犯罪化することによって組織犯罪集団に莫大な利益を与え、末端の消費者に「犯罪者」の汚名を着せ、闇市場を渡り歩かせることで深刻な健康被害を負わせてきたことに対する反省である。科学、正義、人権にもとづいた新たな薬物政策実現に向かって、アメリカは舵を切った。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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