解説われわれが人としての存在の根を張る現実空間は、匂いや昧、肌触りなど、コンピュータによるデジタル化を頑固に拒み続けている無数のみずみずしい情報であふれている。情報のデジタル化とは、デジタル化できない情報をすべてそぎ落として、その部分を巧妙に「ごまかす技術」でもある。ネット空間に散りばめられた情報は、世界のごく一部の、しかもかなり偏った情報なのである。 どんなに社会の情報化が進んでも、手で直接さわるもの、舌で昧わうもの、肌で感じるものを大切にしたい。現実あるいは本物がネットの世界でどのように変形されていくのかを、つねに子どもたちに教えていかなければならない。 かつて物質的貧しさが犯罪原因となった時代もあったが、今や人間関係の貧しさが重大な犯罪原因となっている。しかし、その根底には、情報化社会という情報過多の時代にあって、人間としての行動判断の基礎となる情報そのものの貧しさがあるように思う。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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