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園田寿

園田寿

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

解説1961年の麻薬単一条約によって、現在の国際的な薬物管理体制が確立された。それは、麻薬が重要な医薬品であることを前提に、その非医療的使用を犯罪として取り締まる禁圧的システムであった。条約は加盟国の最低限の義務を定めているが、その抑圧のレベルには制限を課しておらず、世界はすぐに刑事法としての薬物法の抑圧的執行に重点を置くようになっていった。 顕著な変化が見られるようになったのは21世紀になってからである。適切な科学的評価なしに、政治的理由から大麻を最も厳格なスケジュールに入れた単一条約に対する批判が高まり、証拠、正義、人権に基づいた新たなパラダイムが求められてきた。それは犯罪者が薬物を管理している状態から国家の管理に移すことであり、消費者の健康と安全を守るために、効能、品質、アクセスを国家が公衆衛生的観点から厳格に管理するサプライチェーンの構築を意味する。アメリカの動きもまさにこれである。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 安部かすみ

    ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

    補足アメリカでは各州で大麻の合法化が進み、ニューヨーク州でも(取り締まりを減らし、税の関係から)21年3…続きを読む

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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