補足今回の震災対応では発生日当日に中央災害対応センターが設置されました。コロナのとき（中央感染症対策センター）も同様でしたが、このセンターには各省庁と自治体を統合する戦時体制並みの権限が付与されます。センターには各地の被災状況が集約され、省庁・自治体を統括して指示が行われます。当然、交通インフラを所管する交通部（省）も入っており、海陸空でどの路線に輸送余力があるか把握され、分配を一元的に検討できたと見られています。こうした台湾の緊急時における対応力は、台湾社会の自律性の高さと同様に、有事対応としてのシステムが整備されていることも重要なポイントでしょう。
コメンテータープロフィール
ジャーナリスト、作家、大東文化大学社会学部教授。1968年生まれ。朝日新聞入社後、政治部、シンガポール支局長、台北支局長、AERA編集部などを経て、2016年４月に独立。中国、台湾、香港や東南アジアの問題を中心に、各メディアで活発な執筆、言論活動を行っている。著書に『ふたつの故宮博物院』『台湾とは何か』『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』『香港とは何か』『蒋介石を救った帝国軍人 台湾軍事顧問団・白団』。最新刊は『新中国論 台湾・香港と習近平体制』。最新刊は12月13日発売の『台湾の本音 台湾を”基礎”から理解する』（平凡社新書）』。
