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中田大悟

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独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

報告

外国人を生活保護から排除した場合、日本が批准した難民条約等の国際条約に反することになります。しかし生活保護法には国籍条項があり、その適用を日本人に限定しています。このままでは国際条約違反になるところを、厚生労働省は都道府県への通知として、人道上の措置として制度を準用するとし、これを以て国際条約違反になることを避けています。健康保険や児童手当等の他の制度については条約違反にならないように国籍条項を撤廃し、外国人への適用を明文化していますが、生活保護については、この厚生省通知で条約の要求を満たしているから法改正を行う必要がない、というのが厚生労働省の基本的スタンスです。このようなダークグレーな法的状況が、自治体による誤った裁量、判断や、ネット上の排外主義的な主張(外国人には必要ない、外国人に甘すぎる等)が生じることの温床になっています。ちなみに世帯主が外国人の保護人員数は全体の3%程度です。

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コメンテータープロフィール

中田大悟

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。

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