解説イスラエルという、アメリカと極めて緊密な関係にある国家の首相と元大臣に逮捕状が出されたことは、ICCの歴史に照らしても画期的だ。ICCは、戦争犯罪や人道に対する罪など、重大な国際法上の犯罪について個人を裁く機関だが、これまでは逮捕や起訴の対象がアフリカなど非西洋に集中してきたことから、「西側の価値観の押し付け」「新たな植民地主義」といった批判が向けられてきた。 アメリカの対応にも関心が集まる。5月、ハマスの幹部3名とともに、ネタニヤフ首相とガラント国防大臣(当時)に逮捕状が請求されたときには、バイデン政権は「言語道断」と強く非難し、「ガザで起こっているのはジェノサイドではない」と断言した。今回の逮捕状の発行も激烈な反応を招くだろう。逮捕状に関わったICC関係者への制裁の動きもまた活性化しそうだ。
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コメンテータープロフィール
アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。
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