イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪容疑
[アムステルダム/エルサレム 21日 ロイター] - 国際刑事裁判所(ICC)は21日、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に対し、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で逮捕状を発行したと発表した。 ICC判事らは、ネタニヤフ首相とガラント氏が「パレスチナ地区ガザの民間人に対する広範かつ組織的な攻撃」において、殺人、迫害、飢餓について刑事責任を負っていると信じるに足る十分な根拠があると述べた。 ネタニヤフ首相は声明で「反ユダヤ的」と非難。「イスラエルはICCが同国に対して行った不条理かつ虚偽の行為を嫌悪感を持って拒否する」とし、イスラエル国民を守るために「圧力に屈することはない」と言明した。 イスラエルは、パレスチナ自治区ガザにおける戦争犯罪を否定し、これに関するICCの管轄権を認めていないが、ICCは、イスラエルが管轄権を受け入れる必要はないとした。 ICCはまた、イスラム組織ハマス幹部イブラヒム・アルマスリ氏に対しても、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で逮捕状を発行。ガザ紛争の引き金となった23年10月7日のイスラエル奇襲における大量殺人、性的暴行、人質拘束の容疑も含まれる。同氏はムハンマド・デイフという名前でも知られる。 同氏については、イスラエルは7月の空爆で殺害したとしているが、ハマスは否定も肯定もしていない。検察はマスリ氏死亡の可能性について引き続き情報収集を行うもよう。 ICCの決定を受け、イスラエルではネタニヤフ首相に反発する政治家も反発。ベネット元首相はXへの投稿で「イスラエル指導者らに対する恥辱ではなく、ICCおよびその加盟国に対する恥辱だ」と主張。6月に戦時内閣から離脱したガンツ前国防相も、ICCの「道徳上の盲目さ」と呼び、「決して忘れられることのない歴史的規模の恥ずべき汚点」と非難した。 ハマスは声明で、ネタニヤフ、ガラント両氏に対する逮捕状を歓迎した上で、責任追及をイスラエルの指導者全員に拡大するようICCに求めた ハマス幹部はロイターに対し、イスラエル人に対する逮捕状は被害者に正義をもたらす重要な一歩としつつも、全ての国が実質的に支持しなければ、限定的な一歩にとどまるという見方を示した。 欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ICCの決定は政治的なものではないと強調。尊重され、実行される必要があるとし、「ガザでの悲劇を止めなければならない」と述べた。