見解尹大統領の弾劾は、アメリカでも特別な関心を呼んできた。ドナルド・トランプ次期大統領は、2020年大統領選の敗北を認めず、その後、支持者が起こした連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したとして議会下院に弾劾訴追されたが、上院で必要な3分の2の賛成を得られず(共和党からは7名が賛成)無罪評決を勝ち取った。そしてその数年後、選挙という民主的な手続きによって再び大統領に選ばれることになった。また尹が戒厳令を出した日に国会だけでなく、中央選挙管理委員会の庁舎にも軍を送ったのは、野党が大勝した先の総選挙を「不正」と信じ込み、「不正」の証拠を探そうとしていたのではないかとみられているが、ここにも2020年大統領選後のトランプとの類似性が見出される。韓国の政治状況は、アメリカの人々に改めて、自国の民主主義の現状を再考させている。
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コメンテータープロフィール
アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。
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