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松崎健夫

松崎健夫

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映画評論家

報告

見解『映画 窓ぎわのトットちゃん』は2023年に劇場公開された数多のアニメーション映画の中でも、個人的にベストだと感じさせた作品でした。私が審査員として参加した日本映画批評家大賞でも、先月の授賞式で長編アニメーション賞に選出したほどです。残念ながら観客動員は芳しくなかったのですが、口コミで絶賛する声が徐々に伝わったように思います。原作に倣えば、黒柳徹子さんの幼少期を舞台に、個性を尊ぶことの大切さを描いた作品だということになると思うのですが、一方で何気ないなエピソードを積み重ねつつ戦争に向かってゆく世情を描くことで、観客に反戦を訴える作品にもなっています。あくまでも子供の視点・子供の理屈によって、戦禍に至るプロセスをグラデーションで描いているんです。ハッピーエンドとは無縁で、トラウマにもなりかねない描写を貫いた本作が海外でも高く評価されたことには嬉々とするばかり。受賞おめでとうございます!

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 倉田雅弘

    ライター/編集者

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  • 津堅信之

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    補足おめでとうございます。1960年に第1回が開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭は、数あるアニメ…続きを読む

コメンテータープロフィール

東京芸藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。テレビ、映画の現場を経て執筆業に転向。『WOWOWぷらすと』『米粒写経 談話室』『シン・ラジオ〜ヒューマニスタは、かく語りき〜』など、テレビ・ラジオ・配信番組に出演。YouTube『そえまつ映画館』を毎週金曜日に更新、Loftにて『映画解説講座』を定期開催中。『キネマ旬報』『DVD&動画配信でーた』劇場パンフレット等に多数寄稿、共著に『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)などがある。ゴールデン・グローブ賞の国際投票権を持ち、キネマ旬報ベスト・テン選考委員、田辺・弁慶映画祭審査員、デジタルハリウッド大学客員准教授などを務めている。日本映画ペンクラブ会員。

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