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前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説地方自治法では、地方公共団体が義務を課し、権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除き、条例によらなければならないとされています。 努力義務とはいえ、県民に「笑うことが健康にもたらす効果について理解を深めるとともに、1日1回は笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努める」とし、事業者にも「その業務の遂行に支障のない範囲内において、笑いに満ちた職場環境の整備等、従業員の笑いによる心身の健康づくりを推進するよう努める」としている以上、条例によること自体は地方自治法に適合しています。 ただ、罰則こそなく、「事業者及び県民は、この条例の実施に当たっては、個人の意思を尊重し、及びその置かれている状況に配慮するものとする」とされてはいるものの、憲法上の問題以前に、そもそもこんなことを条例で定める理由や必要性があるのか、すなわち「立法事実」の存在に疑念が生じる事案だと思われます。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 井上智介

    精神科医/産業医

    見解笑うことも条例になる時代なんだと、どこか虚しい気持ちになりました。たしかに、記事にあるように、笑うこ…続きを読む

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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