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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説罰金3億円という求刑について、五輪談合における各社の受注総額約437億円に照らすと低すぎると感じる人も多いでしょう。博報堂は求刑が罰金2億円で、判決も同じく2億円でした。 ただ、独占禁止法では談合などの不当な取引制限に及んだ法人に対する法定刑が5億円以下の罰金にとどまっている上、不当に得られた利益は公正取引委員会の「課徴金納付命令」によって剥奪するという仕組みとなっています。 算定期間における売上額などの10%で、電通の場合は違反を主導していたとしてさらに算定額から5割増しされるとみられており、受注業務の遂行に要した諸経費などを差し引くと、手もとに利益が残らない金額となる見込みです。 もっとも、刑事裁判が続いている上、電通など業者の一部が無罪を主張して争っていることもあり、課徴金の具体的な金額などはまだ決まっていません。有罪が確定した段階で、公取委が納付命令を下すことになるでしょう。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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