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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説遺失物の公告から3か月以内に持ち主が見つからなければ、遺失物法の規定により、この現金は「拾得者」のものになります。一方、持ち主が見つかれば、拾得者は報労金を請求できます。金額は5~20%相当ですが、折り合いがつかなければ裁判になります。 では、今回のようなケースの場合、誰が拾得者ということになるでしょうか。発見場所は市の清掃施設内であるうえ、発見者は市の職員で、しかも分別業務中に発見しているので、法的には清掃施設の占有者である市が拾得者になります。 なお、国や自治体は先ほどの報奨金を請求できない決まりとなっていますが、もし持ち主が出てこなければ、市が権利を放棄していない限り、現金は市のものになります。 脱税など事件性のある事案ばかりでなく、タンス預金をする1人暮らしの高齢者が死亡したあと、事情を知らない遺族が遺品をゴミとして捨てることなどもあり、時折こうした事例が発生しています。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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