消費者の実感としては、商品の値上がりは家計を圧迫するものであり、受け入れている、との表現には違和感を持たざるを得ないでしょう。昨今の原油など国際資源価格の急騰に対し、経営努力で吸収することが限界に達した企業が販売価格にコストを転嫁。こうした値上がりを家計は「やむを得ないもの」と諦観に近い受け止め方をしていると推測されます。 実際に起きていることは、資源価格の高騰を主因とした値上がりは、日銀も「展望リポート」で認めているように企業収益や家計所得に対する下押し要因であり、当面は企業・家計の景況感は悪化せざるを得ないでしょう。 今後、家計が値上がりを文字通りに「受け入れる」ためには賃金の本格上昇が必要となるわけですが、残念ながらコロナ禍からの脱却には時間がかかり、その間、国際資源価格の高止まりが続くと、企業収益・家計所得は圧迫され、賃金上昇も望めない、という悪循環に陥りかねないです。
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コメンテータープロフィール
1989年入社、外国経済部、ロンドン特派員、経済部などを経て現職。1997年から日銀記者クラブに所属して金融政策や市場動向、金融経済の動きを取材しています。金融政策、市場動向の背景などをなるべくわかりやすく解説していきます。言うまでもなく、こちらで書く内容は個人的な見解に基づくものです。よろしくお願いします。
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