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川上泰徳

川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

見解停戦案をハマスが受諾し、イスラエルが「我々の要求にはほど遠い」と拒否して、ラファ攻撃に出たことで、イスラエルは戦争終結を求める国際世論と、人質解放を求める国内世論の両方を敵に回す形になっている。イスラエルは過去のパレスチナ交渉では、自分たちは平和を求めているという立場を世界に強調し、相手に政治的軍事的圧力をかけながら自分たちに有利な合意案を出し、相手が拒否したら、相手は平和を望んでいないと批判する手法をとってきた。今回は逆になった。それ自体が情報戦で失敗しているが、ハアレツ紙によるとハマスが承諾した停戦案は、エジプトがイスラエルと詰めた元案とは異なる点があり、新しいエジプト案と報じた。イスラエルが知らないうちに新たな案ができていたとしてネタニヤフ氏側近は「詐欺」といい、エジプトの加担や米国の裏切りを指摘する声さえ出たという。この狼狽ぶりからもイスラエル政権の孤立ぶりが浮かび上がってくる。

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  • 髙岡豊

    中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

    解説ハマス(ハマース)がエジプトが提示したとされる「案」を受け入れると称しつつも、複数の新事項を追加した…続きを読む

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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