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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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見解ハマスが「イスラエルとサウジの正常化阻止」を狙って今回の「奇襲攻撃」をかけたと書いていますが、イスラエルとサウジの水面下の協力は何年も前からのことで、正常化合意の発表を阻止するというような形式的な目的に意味はないでしょう。ハマスが「パレスチナ国家樹立への希望を脅かしかねない動き」を阻止しようとしていたというのも、ハマスが米国の仲介による「パレスチナ国家樹立への希望」を持っているかどうかも疑問。パレスチナ自治政府のアッバス議長と勘違いしているのでは。  ハマスの狙いとして考えられるのは、今回の大規模攻撃、特に越境攻撃を成功させて、アラブ民衆の称賛・支援を得て、米国の仲介でイスラエルと近づくアラブの支配者たちと民衆の間にくさびを打ち込むことでしょう。ハマスはアッバスがパレスチナ国家樹立したら受け入れる可能性はありますが、今回の攻撃は米国主導の中東和平が何も進んでいない現実も露呈させました。

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  • 渡辺靖

    慶応大学SFC教授/現代アメリカ論

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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