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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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見解イスラエルメディアによると、イスラエル軍は「人道地区」からロケット弾発射があったため空爆した。それで民間人の多くの死者が出た。その後、ハンユニスなど「人道地区」東部から退去を求める携帯SMSを住民に流したという。これではイスラエル軍の「人道地区」設定には何の意味もない。自ら指定した「人道地区」から攻撃があれば、まず住民を地区から移動させて攻撃することは最低限の住民保護策だ。自分たちの軍事攻撃のために「人道地区」を指定しならが、軍事優先・攻撃優先で「人道」を守らない。「人道地区」を指定するならハマスや国連と合意して、非武装地域を設定するか、イスラエル軍が完全に責任を持って「人道地域」を維持・管理するかするどちらかだろう。何の取り決めもないなら、ハマスがイスラエル軍の攻撃地域から逃るのは当然のことであり、イスラエルがいつも使う「ハマスが住民を人間の盾にしている」といいう論理さえ成り立たない。

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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