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門倉貴史

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エコノミスト/経済評論家

報告

見解これまで米国は自国の基幹産業やブランド企業の優位性が脅かされると、その優位性を守るために自由競争のルールを無視して保護主義的な政策を打ち出してきた。  たとえば、日本企業が米国に輸出攻勢をかけていた1980年代にはプラザ合意(1985年)で急激な円高を演出し、日本の製造業の競争力を削ぎ落とすことで優位性を守った。  このような保護主義的な政策は世界経済のパワーバランスが米国に集中していた時代には効果を発揮するかもしれない。だが、現在のように多極化した世界経済で保護主義に走れば、自国産業の衰退を加速させるだけであることに気がつくべきだ。  今回のバイデン大統領の過度な保護主義に基づいた判断についても同じで、USスチールを守るどころか、逆に高コスト体質が温存されることを通じて、競争力を失わせてしまうだろう。

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  • 楊井人文

    弁護士

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  • 三牧聖子

    同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

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コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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