見解国民の多くが紙の保険証からマイナ保険証に切り替えて、マイナ保険証の利用率が高まっているのであれば、予定通り紙の保険証を12月に廃止しても問題ないが、今年7月時点でもマイナ保険証利用率はわずか11.13%にとどまる。 約9割の国民はマイナ保険証を使っていないというのが実情だ。 マイナ保険証の利用率がこれほど低いのは、根本的なところで情報の紐付けの誤りや個人情報漏えい、偽造、不正利用の問題が一向に解決されていないからだ。国民の信頼を回復しない限り、紙の保険証が廃止される12月まで利用率は低迷を続ける可能性が高い。 国民のほとんどが利用継続を希望している紙の健康保険証を強引に廃止すれば、紙の保険証の代わりとなる「資格確認書」を大量に発行することが必要になる。このままだと「資格確認書」発行のための事務コスト負担が膨らんで、巨額の税金の無駄遣いが発生することは必至だ。
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コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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