トリガー条項の凍結解除、実現可能性は 国民民主が主張
自民党と国民民主党が政策連携を巡り政策ごとに協議することで合意し、国民民主が主張する「トリガー条項」の凍結解除が改めて脚光を浴びている。トリガー条項はガソリン税を一部軽減する措置だが、よく知られていないところも多い。詳しい仕組みやこれまでの経緯、凍結解除の実現可能性などについてまとめた。(中村智隆) 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 Q トリガー条項とは A ガソリン価格上昇を抑えるため、2010年に当時の民主党政権が導入した。全国平均小売価格が3カ月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、ガソリン税53・8円のうち上乗せ分25・1円を免除する。3カ月連続で130円を下回れば元に戻す仕組みだ。 銃などの引き金を意味するトリガーを引くように、自動で条項が発動することから、こう呼ばれる。 Q なぜ凍結されたのか A 11年に起きた東日本大震災の復興財源を確保するためだ。これまで一度も発動されたことはなく、現在まで凍結が続いている。 Q このところ凍結解除を求める声が高まっている A 原油価格の高騰や円安でガソリン価格が高止まりし、国民に大きな負担となっているためだ。政府は現在、補助金で価格を抑えており、年末とする期限の延長も視野に入れる。しかし国民民主は、これまでに約7兆円が投じられた補助金を疑問視し、凍結解除による減税の方が効果的だと主張している。 Q 凍結が実際に解除される可能性はあるか A 課題は多い。トリガー条項は軽油でも導入されており、凍結解除で国と地方でガソリン税が年間約1兆円、軽油引取税が約5千億円の税収減となる。値下がりを見越した買い控えが生じるなど給油所や流通の混乱も懸念される。さらに解除には震災特例法の改正が必要で、国会審議を経ることから物価高対策としては即効性に欠けるとの指摘もある。 これまでに自民、公明両党と国民民主が解除に向けて協議したが、政府・与党内に慎重論も根強く、決裂した経緯がある。 Q 衆院選を経て国民民主は発言力を増している
A 自公が過半数割れし、石破茂首相は躍進した国見民主との連携強化で活路を見いだす考えだ。国民民主は年収が103万円を超えると所得税が課税され手取りが伸びなくなる「年収103万円の壁」の解消も訴えているが、与党がどこまで主張を受け入れるか注目される。