見解最近の日本の物価上昇は国際的な資源・原材料価格の上昇と円安によって引き起こされている側面が強く、実質賃金が上がって、消費が増え、国内の需給バランスが改善して物価が上昇していくという好循環に入っているわけではない。 実際、実質賃金のマイナスが続いているし、GDPベースの実質個人消費は2024年1〜3月期まで4四半期連続で減少している。4四半期連続の縮小は、リーマンショック時(09年1〜3月期)以来で極めて異例だ。4〜6月期も個人消費はマイナスの伸びになった可能性が高い。 成長型経済に移行しているという認識は誤りで、まだデフレに戻るリスクは残っている。 日銀が追加利上げをした本当の理由は、賃金と物価の好循環が確認できたからではなく、日米の金利差を縮小させて過度の円安を是正することが狙いだったのではないか。
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コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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