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門倉貴史

門倉貴史

認証済み

エコノミスト/経済評論家

報告

政策当局の感染対策が常に失敗するのは、感染対策の成否を評価する際、行動経済学でいうところの「自己奉仕バイアス」が強く働くからだ。自己奉仕バイアスとは、成功は自分の手柄にして、失敗は外部環境のせいにしてしまう認知傾向のこと。たとえば、政策当局は新型コロナの入院対象者を重症者に絞り込み、原則「自宅療養」にすることを決定した。事実上、医療崩壊を認めたことになるが、自己奉仕バイアスの働きによりその責任は認めない。医療崩壊の原因としては、政策当局がそもそも医療・介護・保健所体制の拡充を怠っていたこと、五輪開催により医療供給体制に余分な負荷をかけたことなどが考えられるが、そうした自らの責任は棚上げして「デルタ株の感染スピードの速さ」という外部環境のせいにしてしまう。「自己奉仕バイアス」の傾向が強まると、失敗しても自らの責任は回避するので、失敗を教訓とせず何度も同じ失敗を繰り返すことになる。

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コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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