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伊藤さゆり

伊藤さゆり

認証済み

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事

報告

補足欧州議会選挙は右傾化が見られたものの、欧州全域で一律に極右が勢いを増しているわけではありません。 フランスは最も極右勢力の躍進が目立った国ですが、極右支持と言うよりも、独断的政治手法が目立つマクロン大統領への批判の意味合いを帯びた投票結果だったように思います。 EALBEが行った下院選で最も重視する争点3つを選ぶ調査によれば、購買力を第1位として選択した割合が26%、移民の13%、治安の11%を上回ります。第2位または第3位に選んだ割合も含めると全体の58%が購買力を重視すると答えており、移民の33%、治安の36%を上回ります。 今回の下院選では、国民連合に続いて、左派の幅広い勢力が結集した新左翼連合が議席を獲得する見通しです。両陣営は有権者の関心の高い購買力回復策を競い合っています。 市場では、ただでさえ厳しいフランスの財政事情が一段と悪化するリスクが警戒されています。

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    同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

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    小山堅

    認証済み

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コメンテータープロフィール

伊藤さゆり

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事

1987年早稲田大学政治経済学部卒。2005年同大学大学院商学研究科修士課程修了。日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て、2001年ニッセイ基礎研究所入社。2023年より現職。早稲田大学商学学術院非常勤講師(2015年度~)、経団連21世紀政策研究所研究委員(2017年~)、グローバル・フォーラム「欧州政策パネル」メンバー(2019年〜)など兼務。近著に、『EUと新しい国際秩序』(日本評論社、共著)、『沈まぬユーロ』(文眞堂、共著)

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