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三牧聖子

三牧聖子

認証済み

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

報告

解説現代の政治の対立軸は、「右」「左」ではなく、「上」「下」になったともいわれる。一般に、自由な市場を志向する立場が「右」、再分配と福祉国家を志向する立場が「左」、その間が「中道」といわれる。しかし、経済格差が拡大し、中間層が消滅していく中で、既存の政党は右も左も、欧州統合やグローバリゼーションに基本的には賛成で、それによって影響を被る自国民の苦境を理解してこなかったとして、国民生活を第一にすべきだという主張が台頭し、移民規制を求める声も強まってきた。「下」から「上」への異議申し立てであり、米国のトランプ現象にも通じる動きだ。昨今のアメリカでは、移民の制限を求める主張は、共和党を支持する右派のみならず、民主党支持者にも広がっている。 従来の図式では捉えきれない政治変動が欧米に生まれており、それを単に「右傾化」とのみ捉えていると、構造的な問題が見えなくなる恐れがある。

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    認証済み

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コメンテータープロフィール

三牧聖子

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。

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