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石田雅彦

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科学ジャーナリスト

報告

見解エムポックスは、主に飛沫感染やフィジカルな接触感染によって感染するとされ、空気感染する天然痘に比べれば感染力は低いと考えられています。人類は、これまで天然痘との戦いで勝ち得た公衆衛生対策やワクチンなどの知見が蓄積され、過度に恐れることはありませんが、天然痘のようにエムポックスを根絶できるかどうかといえば疑問です。 根絶可能な感染症は、病原体の自然宿主がヒトに限られ、症状など可視的に明確な診断ができ、感染の観察が容易で、効果的な単回投与ワクチンがある場合とされ、エムポックスは天然痘のワクチンが効果的なものの、宿主には齧歯類などの野生動物やペットが含まれ、水疱瘡などに症状が似ていて診断が難しいという特徴があるからです。 アフリカでは深刻なワクチン不足が発生し、WHOは対策として1500万回分のワクチンが必要と訴えていますが、天然痘ワクチンの備蓄を持つ諸外国による国際的な支援が求められています。

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コメンテータープロフィール

いしだまさひこ:北海道出身。法政大学経済学部卒業、横浜市立大学大学院医学研究科修士課程修了、医科学修士。近代映画社から独立後、醍醐味エンタープライズ(出版企画制作)設立。紙媒体の商業誌編集長などを経験。日本医学ジャーナリスト協会会員。水中遺物探索学会主宰。サイエンス系の単著に『恐竜大接近』(監修:小畠郁生)『遺伝子・ゲノム最前線』(監修:和田昭允)『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』など、人文系単著に『季節の実用語』『沈船「お宝」伝説』『おんな城主 井伊直虎』など、出版プロデュースに『料理の鉄人』『お化け屋敷で科学する!』『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。

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