補足丁度2週間前、台湾の政府系経済安保シンクタンク主催の半導体サプライチェーンに関するシンポジウムに登壇してきました。ここで台湾側からは、半導体サプライチェーンの多様化、すなわち、TSMCを台湾の外に出すことに対して賛否両論がありました。 一方では、「半導体のグローバルサプライチェーンは台湾無しには機能しない」という一極集中を維持し続ければ、台湾有事によるサプライチェーン断絶がを避けたいという第三国が対中抑止に協力してくれるはずだ、という考えがあります。 他方で、数十年後まで見据えると、台湾という小さな島でグローバルな半導体需要に応えようとすると環境負荷がとてつもなく、何より膨大な電力消費を賄うことができないため、同志国への多様化を進めるべきという意見もあります。 これらの議論を経て現在多角化に向けて動いている台湾ですが、今回の自然災害はこの動きを更に後押しすることになると考えられます。
コメンテータープロフィール
東京大学先端科学技術研究センター特任講師。米国シンクタンクのパシフィック・フォーラムAdjunct Senior Fellowや、国際議員連盟の「対中政策に関する列国議会連盟（IPAC）」経済安保政策アドバイザーを兼務。その他様々な立場から日本の政府、省庁、民間企業に対してアドバイスを行う。専門分野は、経済安全保障、人権外交、インド太平洋における国際政治、日本の外交・安全保障政策。
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