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井形彬

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東京大学先端科学技術研究センター特任講師

報告

解説信頼関係とは、築くのには時間がかかるが、崩れるのは比較的容易だ。これは、人間関係にも国家間関係にも該当すると言える。 今回、米国が経済的合理性がありながらも「安全保障」を理由にUSスチールの買収を阻止したことは、米国自身が認識している以上にその信頼性を損なわせたと言える。そして、それは日本企業に限らず、世界各国の企業の対米投資リスク認識を高めたと言える。同盟国である日本企業による米国企業の買収に「安全保障上の問題」があるのであれば、世界中のどの国の企業であっても同じ判断を下される可能性があるからだ。 米国メディアでは、既にダメージコントロールに走る記事が書かれ始めている。「今回は例外」、「中国リスクが高まる中で今後も米国に投資せざるを得ない」、と言ったものだ。しかし、欧州は勿論、東南アジアやインド等への経済的な期待は高い。日本企業は、新たなリスク計算の元での経営戦略の策定が必要だろう。

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コメンテータープロフィール

井形彬

東京大学先端科学技術研究センター特任講師

東京大学先端科学技術研究センター特任講師。米国シンクタンクのパシフィック・フォーラムAdjunct Senior Fellowや、国際議員連盟の「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」経済安保政策アドバイザーを兼務。その他様々な立場から日本の政府、省庁、民間企業に対してアドバイスを行う。専門分野は、経済安全保障、人権外交、インド太平洋における国際政治、日本の外交・安全保障政策。

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