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星周一郎

星周一郎

認証済み

東京都立大学法学部教授

報告

解説証拠上明確なものに限っても3名が殺害されていて、他の患者に対しても殺人予備行為があり、それを医療関係者が医療現場で行ったという悪質さも考えれば、死刑判決を求めて控訴した検察側の主張には、相応の根拠があるといえます。 他方で、1審の裁判員裁判では、結果の重大性や社会的影響を勘案しつつも、被告人自身の事情も考慮して、無期懲役にとどめる判断を示していました。 控訴審では、1審判決の判断について、「論理則、経験則に照らして不合理といえるか」という観点で審査をします。控訴審は、1審と同じ目線で判断をするわけではありません。 今回、控訴審としては、1審判決に、それを覆さなければならないないほどの不合理さはない、と判断したことになります。

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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