見解控訴期限までぎりぎりの検討がされていたのだと思います。 検察側としては、 ・通行妨害目的類型の危険運転致死罪が認められなかったことの不当性 ・8年という量刑判断とその根拠の妥当性への疑義 被告弁護側としては ・進行制御困難類型の危険運転致死罪を認めた判断の妥当性への疑義 などを理由とするものだと思われます。 いずれの論点についても、1審の大分地裁の判決では、非常に微妙な判断がされていることは否定できません。 もともと現在の危険運転致死傷罪の規定内容が、社会一般の感覚からすれば適切とは言い切れないことに、その根本的な原因があるのですが、控訴審の福岡高裁で改めて審理することは、裁判としては長期化してしまいますが、この事案の先例としての価値を高めることにつながります。
コメンテータープロフィール
1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。
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